高いか安いか
5パーセントの消費税は、すっかり定着したんでしょうか。消費税が上がる前に、高価な買い物は済ませたいと、私の友人が言っていましたっけ。
今は昔、3パーセントの消費税が導入されたとき、消費税反対を錦の御旗に社会党が選挙に圧勝しましたが、結局、社会党から議長が出ても、総理大臣が出ても、消費税は無くなりませんでしたよね。それだけ、この消費税というのは、塵も積もれば山となるで、良いドル箱税なのかもしれませんね。
消費税が上がるというニュースをインターネットで見かけたときは、これは、年金や生活保護の実質上のカットだと思いました。だって、消費税分の5パーセント
上乗せして政府が支払うわけないでしょう。出て行く予算は同じでも、入ってくる税金は増えるわけですから、政府にとっては、一挙両得ってところでしょうね。
でもね、これって、弱いもの虐めじゃないですかね。
年金だけに頼って暮らしているお年寄り、たくさんいますよ。私の両親の友達だって、ほとんどリタイアして年金だけで生活してます。持ち家のある人ならまだし
も、賃貸している方なんて、相当切りつめないと暮らしていけないじゃないでしょうかね。そんなお年寄りからも消費税を取るなんて、酷じゃないですか? 今まで、税金払って、我武者羅に働いてきた人たちなのにですよ。
もちろん、国だってお金がなければ運営できないことぐらい判っているつもりです。でも、国としては、運営も大切だけど、国民の最低の暮らしを保証することのほうがもっと大切だと思ってほしいですよね。
例えばです、アメリカの消費税は州の中でも地域ごとに違います。私のいる地域では、8.25パーセントです。凄く高いですよね。でも、食材には消費税は掛かりません。スーパーマーケットに行って、牛乳やパン、野菜、洗剤を買っても、洗剤にしか消費税は掛かりません。だから、贅沢さえしなければ、食費は日本より安くつきます。これって、生活している人にとって、とっても優しい課税方法だと思いませんか?
さて、日本政府は、増えた予算で一体何をするつもりなんでしょうね。
私の両親の住んでいる町は、昭和30年代に開発された新興住宅地というやつです。その頃はひょろひょろの苗木だった公園の池の回りの桜も、今では立派に枝を伸ばし風格が備わってきています。今では花見客が来るほどになっています。
でもですね、ここの公園の清掃は、住民がやってるんです。住民といっても今は若くて60代、先輩では90代なんですよ。それが月1回、当番制で公園のお掃除してるんですよ。カンカン照りの日も、北風が吹き付ける寒い日も。「私ら、動かれへんようになったら、誰が公園掃除してくれはるんやろ」、そう90を超えたお婆さんが、ポロリと私の母に零したそうです。
何か、何か、おかしくありません? 誰のための、何のための公園なんです?
アメリカじゃ、公園の掃除は、市がやっています。草刈りだって、芝生刈りだって、季節の花を植え替えるのだって、市がやってます。住宅地の木だって、大きく
なると市の木になり、家の持ち主でさえその木を勝手に切り倒すことは許されません。でも、市が責任もって枝を祓ってくれるし、その木が枯れたら切り倒して、根っこを掘り起こし、新しい木を植えてくれます。みんな、税金で賄われてます。だから、宅地の持ち主が、市の木に対して余分にお金を払う必要もありません。
どうなってるんでしょうか、日本?
日本で払っていた血税が、長良川の河口堰になったり、訳のわからん土木工事に使われるのには、理不尽を通り越して怒りを感じます。何か、今だけ見て仕事してるって感じですね。土建業者に金を渡して、お互い懐暖かくなりましょうって感じですね。そんな工事が、はたして私たちの子供の代に必要なものなんでしょうか。もっと他に使わなきゃならないところがあるんじゃないでしょうかね。
今だけを見ずに、未来を見つめて仕事していって欲しいですよね、日本政府さん。頭良い人が集まって死に金使うのは、滑稽を通り越してますよ。
さて、日本の消費税、あなたは高いと思いますか、安いと思いますか?
1997年8月
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