ちょっと肩の力を抜いていこう




「あなたの文章には力がありますよ」

それは、おべっかだったとしても、私にとってはパワフルな言葉だった。
相手が元新聞記者という肩書きだったからだろうか。
「あなたが新聞記者にならなかったのは、残念な気がします」
父の会社の事務所で、突然訪問を受けた男性からの一言だった。
私はその方の監修している小冊子にエッセイを数本だけ、書かせていただいたことがある。
嬉しい気持ちが沸き起こったが、私の肩には変に力が入ってしまったようにも思う。

私がHPを開いていることは、私の両親はおろか親戚までに知れ渡っている。
そのことが、全く足かせになっていないかというと、それは嘘になる。
何をどう書くか、どこまで自分や家族のことを書くか、それこそ一つずつのエッセイごとに躓くことしきりだ。
それでも、書きたい何かがあり、書いてきた。
その足かせは、自分への挑戦状でもあった。
そこに来て、この肩の力だ。
書きたいことがあるのに、書けない自分を発見する。
我ながら、苦笑してしまった。

もう少し、肩の力を抜こうかと思う。

醗酵し、成熟をするのをいつも待ち、七転八倒して書くエッセイだが、これからはもう少し肩の力を抜いて書いてみようかと思っている。

この文章を書くのは、誰のためにでもない、自分のためだ。

画面の前で肩の力が入り、目が吊り上ってきたときにこそ、熱いお茶を入れ、深呼吸しながらこのページを読み直そうと思っている。




2000/05/08



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